薬師如来坐像  天部立像

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 薬師如来坐像は、安楽寺の奥の院があったとされる八雲神社拝殿横の薬師堂にあり、奥の院の本尊とされている。その左右に天部立像二体を配して三尊一具として安置されている。嶺北地方では珍しい半丈六で、高さ139cm、膝張107cm、肘張71cmの大きな寄木内ぐり造りである。王朝文化を反映した優雅で穏やかな表現の結跏趺坐像であり、その形態、刀法や寄木の構造から12世紀頃(平安時代後期)の作と推定される。
 二体の天部立像は、四天王の内の二体である。右像が高さ139cm、肘張71cm、裾張36cmで、左像が高さ134cm、肘張73cm、裾張37cmである。両像とも彫眼とした桧材の一木造で、頭部、体部を一木から彫りだし、背面から内刳を行っている。本尊薬師如来坐像は寄木造りであるが、ほぼ同時代の平安時代後期の作と判断できる。両像とも両腕がほぼ当時のまま残され、踏まえる邪鬼も当初の作である。ただ、左像の手先や腕の張り具合が多少移動しているので正確な尊名は決めがたい。衣文や着甲に平安時代の穏やかな表現様式がみられる貴重な作である。